クロコゴケ(絶滅危惧Ⅰ類)は高さ1~1.5 mm の小さなコケの一種です。2017年に、私は沖縄島南部の城跡でこのコケの生育状況を調査しました。調査の結果、過去に生育が報告されていたのと同じ場所で、このクロコゴケのコロニーを観察することができました。生育場所は城壁下側の古い石灰岩の石垣です。石垣は表面が風化していて,わずかにできた石灰岩の窪みに、直径1cm程度の小さなコロニーをいくつか形成していました。しかし、その場所でクロコゴケのコロニーの集団が見られたのは、幅がわずか約1 mほどの範囲に限られていて、あたらしい石垣の部分には見られませんでした。
本種は沖縄県内では沖縄島の1ヶ所でしか確認されていない貴重なコケですので、この場所の環境が変化しないか非常に心配です。もしかすると、ほかの古城でも同じような石灰岩の城壁で新たなコロニーが見つかる可能性がありますので注意して観察してみてください。
広島大学 山口富美夫
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