日本では今までに22種のサワガニ類が発見されていますが、そのうち沖縄県からは17種が知られています。サワガニ類は一生を淡水や陸上で過ごすグループで、海には全く降りないため、沖縄県の島々に生息するサワガニ類は、何万年も代々同じ島で暮らしていると考えられます。
サワガニ類は非常に限られた環境に生息する傾向があり、例えばアラモトサワガニやミネイサワガニは、上方を樹木などに覆われた、常に流れのある浅い沢の石の下などに潜んでいます。また、ムラサキサワガニやカッショクサワガニは水流が緩い水辺周辺、オオサワガニやヤエヤマヤマガニは水辺から少し離れるが水が染み出すような環境、ヒメユリサワガニは石灰岩が多く、あまり乾燥しない環境に生息しています。これらサワガニ類に共通して言えるのは、日光にさらされる高温になる環境には生息できない点です。
残念なことに、沖縄県に分布しているサワガニ類17種はすべて「沖縄県レッドデータブック」に掲載されています。島嶼県である沖縄県では、繊細なサワガニ類が生息し得る環境の面積がそもそも小さく、しかもそれらは人間の活動により簡単に奪われる可能性があります。我々よりずっと以前より島に住み続けているサワガニ類が、今後も末長く暮らしていけることを願わずにはいられません。
成瀬 貫 琉球大学熱帯生物圏研究センター西表研究施設・准教授
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