改訂第3版(2018)では、昆虫類掲載種のおよそ半数を水生昆虫が占めています。
そのなかでも、とくに水田や池沼、湿地といった止水域にすむ多くの種が危機的な状況にあります。
止水にすむ水生昆虫の減少要因としては以下が指摘されています。
イシガキニイニイ(石垣島固有のセミ)
ヤエヤマニイニイが島内に広くすむのに対して、本種は米原のヤエヤマヤシ林の周辺でしか確認されていません。近年は、数個体程度の鳴き声しか確認されない年や、まったく確認されない年もあるなど、危機的レベルまで減少しています。
ヒサマツサイカブト(南大東島固有のカブトムシ)
島内のビロウ林に生息しています。生態は不明ですが、幼虫はビロウ内部の腐植物を餌とすることが推察されています。2000年前後になって、サイカブト(タイワンカブト)が島内に侵入してビロウ林に大きな被害を与えており、同じ環境にすむと考えられるヒサマツサイカブトへの影響が懸念されています。近年は数個体の発見例しかなく、沖縄県内で最も絶滅の危機に瀕した昆虫の一つで、早急な生息調査と保護対策が求められています。
タイワンツバメシジミ名義タイプ亜種(国内では奄美諸島と沖縄島にすむシジミチョウ)
もともと沖縄島の2か所でしか生息が確認されていませんでしたが、1995年以降記録はありません。八重山諸島での記録は台湾からの迷蝶と考えられます。
(「危機に瀕している止水にすむ水生昆虫」は、レッドデータおきなわ第3版(動物編)の対象となる種の解説文章をもとに、沖縄県が再構成しました。)
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